所属
理化学研究所 脳神経科学研究センター脳発達分子メカニズム研究チーム言語発達研究班 客員主管研究員
早稲田大学 理工学術院総合研究所 客員上級研究員/客員教授
Department of Psychology and Neuroscience, Duke University Research Professor
Researchmap
研究の興味
日本語の音声獲得を通して、人の脳発達のメカニズムを探る
言語は、人が自然に獲得する認知機能の中で最も高度なスキルですが、乳児 は生後数年の間に驚くような早さで言語を獲得します。乳幼児期の言語獲得の過程を解明することで、人の脳のどのような特性が、このような 効率的な言語獲得を可能にしているのかを探ります。
言語の音声や韻律は、乳児が一番早くから獲得する特性で、その後の言語発 達の基礎をなすものです。これまでの研究で、乳児は生後1年ほどの間に母語の音韻 特性の多くを獲得していることが分かってきました。けれども、従来の研究は英語やフランス語など欧米言語を学ぶ乳児を対象としたものがほ とんどで、日本語のように欧米言語とは大きく異なる特性を持つ言語の研究は限られていました。日本語は、その音素や韻律において、世界の 言語の中でも非常に珍しい特性を持つことで知られています。日本人乳児が日本語の音素や韻律をどのように獲得していくのか、またそれは他 の言語を学ぶ乳児とはどう違うのかを調べることでヒトに特有な音声獲得の特性は何なのかを調べます。
子供の言語理解は大人とどう違う?
言語の獲得は、音声や語彙、文法を獲得しただけで終わりではありません。母語 を自在に操っているように見える子供たちは、実はいろいろな側面で大人とは違う言語の使い方をしているようです。近年の研究で、幼児が語彙や 文法の知識はあるのに、簡単な文の理解ができないことが注目を浴びています。幼児や児童のこのような行動が何によって引き起こされているのか を調べることで、幼児の言語知識がこの時期の脳発達やそれにともなう認知発達とどのようにかかわっているかを調べます。